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しかし、残念ながら日本の農地法では、企業が農地を所有することはできない。
一軒一軒の農家と契約して、加工用トマトを作付けしてもらわなければならない。 いや、それよりもなによりも、国土の狭い日本では、そもそも耕地面積の絶対量が足りない。
日本のトマト畑だけでは年々増える一方の加工用トマトの需要には追いつけないのだ。 そこでいま注目されているのが中国である。
トマトは現在、世界でもっとも多く栽培されている野菜で、年間産出量は世界で9000万トンにものぼるが、その中でもっとも多いのが中国の1639万トン(全産出量の約18パーセント)なのだ。 ちなみに2位はアメリカの1076万トン、3位がトルコの660万トン、以下、エジプトの598万トン、イタリアの537万トンと続く(1998年)。
トマトの最大生産国は長らくアメリカだったが、ここへきて、作付け面積が飛躍的に伸びた中国にトップの座を奪われるにいたった。 私たちが注目しているのは、その中国産トマトだ。
資本主義化が進む中国では、最近、アメリカの大学でアメリカ的な経営手法を学びMBA(経営学修士)を取得した若い人たちが、広大な土地が安く使える中国奥地の新疆ウイグル自治区でトマト栽培をはじめている。 中国のトマト生産量がここ数年で一気に300万トンも増えたのは、この新疆での伸びによるところが大きい。

日本全体で1年間に生産されるトマトの量が、70万~80万トンなのに対して、増加量だけで300万トンというのだから、その生産がいかにすさまじいものか、おわかりいただけるだろう。 新疆で生産されるトマトは加工用で、私たちも加工用の品種を現地に運び、契約生産してもらっている。
私たちが新疆のトマトで注目しているのは、量もさることながら、その質である。 じつにクオリティの高いトマトがつくられているのだ。
新疆では、日本の生食用トマトのように一本一本、添え木を立てて、果実をハサミで収穫するなどということをしているわけではない。 そのつくり方はいたっておおらかだ。
たとえば、用水路を建設するなどという、めんどうなことはしない。 苗がある程度大きくなり、農業用水がたくさん必要になってくると、近くを流れる河の土手を切って決壊させ、畑にドーッと水を流しこむ。
だから河に近い地域と、遠い地域とではトマトの質がちがってくる。 河に遠い地域のほうが水分が少ないので、糖度が高く、おいしいトマトになる。

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